6-1. プラスミドの基本的な特徴
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プラスミド(plasmid)
F因子というDNAで初めて使われたが、今では染色体以外で増える小型核酸一般に用いられている
少数の遺伝子をもつ二本鎖の環状DNAで、細菌や酵母などの細胞内に1~複数個存在し、細胞を殺すことはない
プラスミドは生存には必須ではないが、細胞にとって有利な遺伝子をもつため、細胞がプラスミドを積極的に排除することはない
主なプラスミド
大腸菌
ColE1
コリシン産生
R因子
薬剤耐性付与(R1など)
F因子
接合と遺伝子導入
アグロバクテリウム
Tiプラスミド
酵母
2μmDNA
キラー因子(RNA)
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1) プラスミドの複製とコピー数
プラスミドは細胞の複製因子を使い、1ヶ所の複製起点oriから複製を開始する
細胞あたりの数(コピー数)により、プラスミドを2種類に分けることができる
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低コピープラスミド
細胞に少数(1~数個)しか存在しない大型のプラスミド(e.g. R因子やF因子)
宿主と厳格(stringent)に同調して複製するので、ストリンジェント型プラスミドという
多コピープラスミド
10~数百個/細胞
宿主の制限から外れて比較的自由に複製する小型プラスミド(e.g. ColE1)が含まれる
リラックス型プラスミドといい、娘細胞に確率的に(偶然の比率で)分配される
遺伝子工学では多コピープラスミドの方が使い勝手がよいが、細菌にとって有害なDNAをもつ場合にはむしろ低コピープラスミドの方が使い勝手がよい
memo: プラスミドの複製形式
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環状DNAの複製には2種類の様式が存在する
θ型複製
1つのoriから両方向性に1回複製する方式
大腸菌ゲノムDNAやColE1など
名前は複製途中の分子の電子顕微鏡像から
σ型複製(ローリングサークル型複製)
糸巻き車の糸が戻るように回転しながら複製・伸長し、その後単位長さに切断される
伝達に伴うF因子の複製、M13ファージの複製中間体の増幅、ミトコンドリアDNAの複製などで見られる
2) 不和合性
和合性
あるプラスミドが別種プラスミドと共存できる場合
異なる複製機構(=複製起点:ori)をもつプラスミドが示す
不和合性
できない場合
同じ複製機構を持つプラスミドが示す
同じoriをもつ2種類のプラスミドが偏って娘細胞に分配されると、分配の度に偏りが増長されるので、最終的に1つの細胞に1種類のプラスミドしか存在しないようになる
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この性質があることにより、プラスミドを使って細胞内で1種類のDNAのみを純粋に増やすこと(クローニング)が可能になる